musicfrombigpink

ロック史を変えた名盤として名高い、The Band(ザ・バンド)の1968年のリリースのアルバム「Music From Big Pink(ミュージック・フロム・ビッグピンク)」。

この作品をあらたにミックスし直したリミックスバージョンが先日リリースされました。

現行のCD音源と比べてどのように変わったのか?

比較しながら聴いてみた感想を書いてみようと思います。

最初にお断りしておきますが、かなりネガティブな感想となっていますので、あらかじめご了承ください。

第一印象は「うるさい」

飛ばし飛ばしでザッと聴いてまず感じたのは「うるさいな」ということ。

Music From Big Pink(以下Big Pink)はもともと過剰なエフェクトの少ない、とてもデッドなサウンドです。

さらに、平均的なロックのアルバムと比べてダイナミックレンジが広くとってあるため、大きい音は大きい音、小さい音は小さい音としてリアルに感じることができます。

例えば、曲の盛り上がる部分やキメの部分でドラムを強めに叩いたり、バースで静かめに演奏しつつ、サビで音量を上げて盛り上げるという、バンド側の意図が伝わってくるサウンドになってるんですね。

しかし、今回のリミックス版では音の大小がなだらかになっていて、全ての音が起伏に欠けて聞こえてきます。

今まで脇役として鳴っていた音も前に出てきているので、これまで存在に気が付かなかった音が聴こえるという点では良いのですが、曲をトータルで聴くと、全部のパートが「俺も!俺も!」と主張しているようで、ちょっとうるさく感じてしまいました。

ドラムサウンドが貧弱になった

Big Pinkの持ち味だった、音量がデカくてデッドなドラムサウンドは後退しました。

かなりコンプが強めに掛かっているせいか、特にスネアドラムなんかはペチペチした貧弱なサウンドだし、余韻が長くなったせいでキレも悪くなっています。

リバーブも深く掛かっていて、ザ・バンドが目の前で演奏しているような、良い意味での荒っぽさは感じられません。

リバーブたっぷり

ドラムだけでなく、全体的にリバーブがかなり深く掛かっています。

一瞬「これってライブ盤?」と思ってしまうというと言い過ぎですが、リミックスを聴いた後にオリジナルを聴くと、びっくりするほどデッドでスッキリしています。

リチャードが作曲してリードヴォーカルも務める「In a Station」「Lonesome Suzie」なんかは、夢見心地な曲調と相まって、リバーブが効果的に響いてると思うんですけどね。

コンプ臭がスゴい

全体的にコンプ臭がすごいです。

個人的には、ヘタにコンプをかけ過ぎた時の、あの気分が悪くなるような揺らぎさえも感じられます。

今作でリミックスを担当した著名エンジニアであるボブ・クリアマウンテンをつかまえて「コンプかけ過ぎ」と言うのも如何なものかとは思いますが、そう感じるんだから仕方ない。

正直、聴いてて心地よいサウンドでは無いです。

キック(バスドラム)とベースがある低音域の音がグルグル回って、ちょっとノイズっぽく聴こえるような箇所がいくつかあるのも気になります。

意図が良く分からないところも

「The Weight」と「Lonesome Suzie」には、なぜかイントロに「1.2.3」というカウントが付け加えられています。

これ要りますかね?

蛇足でしか無いと思うんですが。

あと、「We Can Talk」では、リヴォン・ヘルムのヴォーカルが聞こえてくるチャンネルがRからLに変わっていて、なおかつリヴォンのヴォーカルにだけ変なエフェクト(あるいは極端なEQ)が掛かっているですが、これが耳に痛くて聞きづらいったらない。

「This Wheel’s On Fire」なんかは、イントロのガース・ハドソンによるキーボードの音色まで変わっちゃってるし、リック・ダンコのヴォーカルも含めて、一瞬別テイクと錯覚してしまうほど。

僕はダメだった

本作をミックスしたボブ・クリアマウンテンは、数年前にリリースされた「Live at Academy of Music」というザ・バンドのライブ版のミックスも担当しており、これがすごく良くできているんです。

実質的には、ザ・バンドの名ライブ盤「Rock of Ages」のリミックス版という位置付けで、「Rock of Ages」が大好きだった僕でさえ、「Academy〜」ばかり聴くようになったほど気に入っています。

そんなボブ・クリアマウンテンがBig Pinkをリミックスするということで期待していたので、今回のデキは残念ですね。

個人的には、古い音源がリミックスされたものを聴くのは好きだし、肯定派なのですが、今回のリミックスは正直「雑だな」と思っちゃいました。

そもそも、ザ・バンドの音源は、現行の2002年リマスターのものでも十分高音質です。

おそらく、今回のリミックスを受け入れられるファンは少ないんじゃないかなと思いますね。

とはいえ、単に僕の耳に合わなかっただけかもしれませんので、気になってる方は一度聴いてみても良いかと思います。