音楽鑑賞といえば猫も杓子も「定額聴き放題(サブスクリプション)」の時代ですが、僕はあえてサブスクを止めて、CDメインの音楽鑑賞生活に戻しました。

その理由の一つとしては、聴き放題は音楽を所有できないからです。

定額聴き放題は音楽を所有できない

あらためて説明するまでも無いとは思いますが、Apple MusicやSpotifyといった音楽の定額配信サービス(サブスクリプション)は、ストリーミングで配信されています。

一応、オフラインでも再生できるように、スマホなどの端末にダウンロードすることもできるようになっているのですが、それとて永続的なものではなく、サービスを解約すると聴くことが不可能になります。

例えば、月額980円払って音楽を楽しんだとしても、解約したら手元には何も残りません。

もちろん、音楽を楽しむという経験に対して対価を払っているという考え方もできますし、それはそれで正解だと思うのですが、事実として手元には何も残りません。

そもそも音楽を所有する意味ってあるの?

CDやアナログレコードといった物理的な媒体で音楽を所有する意味はあるのでしょうか?

僕個人の意見としては、所有するとか所有しないとかという話の以前に、定額配信で音楽を聴くという行為にどうも馴染めないところがあります。いわば、消去法の考え方で「音楽は所有する」という結論に至ったわけです。

このあたりは個々人の音楽との接し方によって変わるので、僕の考えを他者に押し付けるつもりはありません。

僕が定額配信を利用せず、CDで音楽を所有する理由としては・・・

  • 自分の好みや今興味を持っている音楽について自覚的になれる
  • ひとつひとつの作品とじっくり向き合いたい
  • 流行りの音楽にはあまり興味がない
  • クラシック音楽を開拓したい

などが挙げられます。

僕はロックやポップスのジャンルも好きなのですが、心を揺さぶられるようなアーティストと出会うことはほとんど無くなり、興味の対象はクラシックに向いています。

作曲家が五線譜の上で設計するような音楽は「芸術音楽」などと呼ばれていて、特に交響曲などは聴き手に忍耐と能動性を求められる場合もあります。総演奏時間が1時間の交響曲があったとしたら、1時間ずっと耳を傾けてないとその楽曲が年月に淘汰されずに生き残っている本当の意味で理解することはできません。サブスクで次から次へ聴き流すような音楽ではないのです。

もちろん、こういった音楽を定額配信で聴くこともできるのですが、1つの作品を繰り返し何度もじっくり味わうような音楽鑑賞の仕方にはマッチしないように思います。

ブラームスの4つの交響曲を「理解したい」「深く味わいたい」という動機を持って聴くのであれば、「ブラームス交響曲全集」のCDを買って所有しておく方が、音楽を鑑賞する動機が孕んでいる気分にマッチします。

定額配信サービスは情報が多すぎる

定額配信には、「この曲を聴いている人にオススメの曲」みたいに、他の音楽をおすすめしてくる機能がありますが、これが結構煩わしい。おすすめしてくれるなら一応聴いてみようかみたいなノリでどんどん他の曲にサーフィンしていってしまい、1つの音楽にじっくり向き合う機会を奪われている気がしてなりません。

そもそも、おすすめ機能が提案してくるアーティストって、同ジャンルかつ類似性が高いというだけで、経験的にあまり良い出会いはありません(ジャンルを超えたところで、バシッとくるおすすめが提案できるようになれば大したもんですが)。

他にも、あの手この手で聴くべき音楽を提案してきますが、正直なところ「余計なお世話」でしかないというのが僕の印象です。要するに広告的な情報や不要なノイズが多い。

音楽と向き合うの大切さ

ある種の音楽を楽しむためには、その音楽が持つ聴き方の型みたいなものを理解しておく必要があると思います。

例えば、僕は「はっぴいえんど」というバンドが大好きなのですが、いわゆる流行りのJ-POP的な作法に則って作られた音楽ばかりを聴いている人に「はっぴいえんど」を聴かせても、「うーん、よく分からない」という反応が返ってくるかもしれません(経験談)。J-POP的なメロディ、コード進行、歌詞、アレンジにしか馴染みのない人には、「はっぴいえんど」さえも理解し難い音楽だったのです(J-POPの型でしか聴けない)。

つまり、多様な音楽の聴き方の型を知ることで、広く音楽を楽しめるようになるということ。そのためには、馴染みのない音楽とじっくり向き合い、理解しようと努力する時間が大切なのではないでしょうか?

そういう意味でも、ついつい音楽サーフィンしてしまう構造を持つ定額配信は、僕個人の音楽の楽しみ方とは相性が悪い気がします。

最後に

音楽の定額配信については、この他にも色々思うことがあり、まとまりのない文章になってしまいました。追々書いていこうと思います。