
作曲ってつかみどころがない作業ですよね。
音楽って聴くにしろ作るにしろ物理的な形がないので、なんとなく抽象的に捉えがちです。
曲を作りたいけど、具体的にどこから手をつければ良いのか解らないという悩みは、作曲を志す人は誰でも経験するんじゃないでしょうか。
とは言っても、曲作りにはある程度パターンがあるんですよね。
もちろん人によって様々ですが、大まかには大体いくつかのパターンに分けられるはず。
そんな、具体的な曲作りの方法を知りたかった僕が、実際に読んで役に立った本をご紹介します。
おすすめ作曲、音楽理論の本
作曲本~メロディーが歌になる~ / 野口義修
これから作曲を始めようという人は読んでおいて損はない作曲入門書。
非常に親しみのある話し言葉の文章で著者が丁寧に教えてくれます。
とりあげてある音楽理論は初歩の初歩という感じですが、これらの内容がしっかり理解できていないと先に進めない基礎となる大事な部分。
というより、この本のコンセプトは作曲そのもの。
誰でも作曲をすることが出来る”というスタンスのもとで、曲作りを楽しむアイデアが豊富です。
何より語り口調の文章が読んでいて楽しいので入りやすいですね。
“作曲は難しくて才能のある限られた人にしかできないもの”という固定観念を吹き飛ばしてくれる入門者に優しい一冊です。
鼻歌からはじめる即効作曲レッスン / 田村信二
詳しくはこちらで解説していますが、これも素晴らしい本です。
内容の充実度、網羅している範囲、読みやすさ。正直、教則本としてかなりレベルの高いです。
シンプルでわかりやすい文章にぎゅっと情報が詰まっていて理解しやすいです。
DTM オーケストラサウンドの作り方 / 永野光浩
楽曲へのオーケストラ楽器の導入は一般的に行われており、DTMで作編曲するにあたっては、遅かれ早かれオーケストラの知識が必要となってきます。
この本では、「DTMでの作曲でオーケストラを導入してみたいけど、どこから手をつければいいのか分からない」といった方へ最適な内容となっています。
オーケストラの編成や奏法をはじめ、楽曲への取り入れ方、オーケストラらしく聞かせる打ち込みの方法など、初心者が知っておくべきベーシックな内容が満載です。
リハーモナイズで磨くジャンル別コード・アレンジ術(CD付き) / 杉山泰
リハーモナイズとは、すでに完成したメロディに対するコード進行を音楽理論に基づいて別のコードと差し替えてアレンジすること。
同じメロディでもどんなコード進行がついているかよって印象が全く変わってきます。
この本では実在の曲のメロディを用いて、ジャズ、ボサノバ、ロック、R&B、ファンク、フォーク、Jポップへの具体的なリハーモナイズ方法を順を追いながら学んでいける実践的な内容となってます。
一応基礎的な音楽理論の説明もあるのですが、中級者以上向け。
コードひとつで雰囲気がガラっと変わってくるのは解るけれど、どうしても不自然なコード進行になってしまうと悩んでる人にも最適です。
個人的には、3コード(トライアド)が基本なんだということをあらためて認識させてもらえました。
入門者から中級者まで長く使える一冊なのではないでしょうか。
レコーディング/ミキシングの全知識 / 杉山勇司
初心者の頃は必ずといっていいほどCubaseやLogic,SonerといったDAWソフトの使い方につまずきます。
もし録音機材などの知識が全くなければ、もう何が何でどうなってるのかさっぱり理解できない場合も多いでしょう。
マニュアルを見ても聞いたこともない専門用語ばかりで、マニュアルのマニュアルが欲しい。
そんな人に読んで欲しいのがこの本です。
機材、レコーディング、ミキシングについての基本的な知識が身につきます。
しかも、結構突っ込んで解説してあるところも多いので、初心者でなくてもいつも手元に置いておくと何かと便利で役に立ちます。
作曲に直接関わる本ではないですが、DAWユーザー必読。
エンジニアが教えるミックス・テクニック 99 / 葛巻善郎
昔は作曲といえばメロディとコード進行を作れればよかったかもしれませんが、現代においては、DAWを使って楽曲全体のアレンジやエンジニアリング的なことも含まれてると言っても化合ではありません。
この本では、著者である葛巻善郎さんが実践している楽曲ミックスのテクニックが詳細に語られています。
特筆すべきは、女性ヴォーカル、生ピアノ、管楽器、ドラムの各パーツなど、様々なソース別の処理方法が丁寧に記されているところです。
また、コンプやEQ、ディレイ、リミッターなどのエフェクト別の処理例、録音した素材のトリートメント、2ミックス作成の具体的な手法、加えて、著者自身が実際にミックスした曲を「葛巻ミックス解剖」として10曲取り上げ、重要なポイントが解説されています(曲の一部分を抜粋したCDが付属)。
ミックスで困った時に、知りたいことが載ってるページがパッと開ける構成の本なので、リファレンスとして手元に置いておきたい一冊です。
大人のための音感トレーニング本(CD付き) / 友寄隆哉
例えばCのコードを鳴らしながらあるメロディを歌う時、そのメロディのひとつひとつの音がCのコードに対してどの位置にあるのか。
そういうことをしっかり意識していくことが音感を育てることに役に立つと思うのですが、人間が言葉を知らないと人間らしい理論立った思考が出来ないのと同じように、音楽においても、音楽の言語を知らないと全てが抽象的な表現になってしまいます。
そういった理由からだと思いますが、音感をトレーニングすることを主としたこの本も、かなりのページを音楽理論の説明に費やしています。
本の性質上、普通の音楽理論の本とはまた少し違った視点で書いてあったりするので、他の解説書では分からなかった事が、この本を読んで理解できたりするかもしれません。
結構ディープな内容なので完全な初心者の方がスラッと読んでいける本ではありませんが、筆者の性格によるものなのか丁寧で読みやすく、熱意が伝わってくる文章で好感が持てます。
実践!やさしく学べるオーケストラ・アレンジ / 彦坂恭人
こちらの記事でも紹介してるように、これからオーケストラ・アレンジを学びたいという人にめっちゃおすすめの本です。
昔からある分厚くて高価な管弦楽法の本って、内容さておき文章が古く読みづらいですよね。
しかし、この本は内容がスルスルっと入ってくる感じで理解しやすいです。
難しいことをそのまま小難しい言葉で教える先生よりも、小難しいことをやさしく噛み砕いて教えてくれる先生がいいですよね。
そんな本です。
ゲームサウンド制作ガイド / ウィニフレッド・フィリップス
日本語訳が機械翻訳的で少し読みにくいのが難点ですが、内容は非常に興味深く面白いです。
ゲームにおける音楽の役割、役目などや、ゲームジャンルや場面ごとに必要とされる音楽の違いなど、ゲーム音楽を志す人は間違いなく必読。
「アサシン・クリード」や「ゴッド・オブ・ウォー」などの音楽も手がける筆者の、ゲームへの愛情が節々から感じられます。
心理学的な見地からのアプローチも盛り込んだ良書。
書きあぐねている人のための小説入門 / 保坂和志
タイトルに「小説入門」とあるように、小説の書き方についてのエッセイです。
一見音楽や作曲とは関係がなさそうですが、「小説」を「音楽」や「作曲」に置き換えて読んでみると実に面白い。
普通の作曲本では得られないような、ハッとさせられる様々な気づきが得られます。
本書はまず、「小説を書くためのマニュアルはない」ことを前提として始まります。
音楽の世界では音楽理論的なものは存在していますが、これはあくまで音楽の仕組みを体系立てただけのものであり、作曲のマニュアルではありません。
著者は「小説の書き方」みたいなマニュアル本を否定します。
自分の小説の行き詰まりをテクニック不足が原因だと考える人は「小説の書き方マニュアル」を信じる律儀さと同じで、たしかに真面目で素直ないい人ではあるのだろうが、本当に自分が書きたいことが何なのかをきちんと考えていないという意味で、怠けているということになる。
この一文を読んでピンとくる人には、是非読んでみることをおすすめします。