
3和音から4和音へ
ご存じ、ザ・ビートルズの名曲「Hey Jude」。
ポール・マッカートニーがジョン・レノンの息子ジュリアン・レノンに送った曲としても有名ですね。
この曲のキーはFで、出だし「Hey Jude don’t make it bad〜」のコード進行は、
F→C→C7→F
となっています。
ダイアトニックコード上の度数(ディグリーネーム)でいうと、
Ⅰ→Ⅴ→Ⅴ7→Ⅰ
という大変解りやすい進行なんですが、キーFにおけるドミナントセブンスコードである4和音C7の前に、あえて3和音のCを挟んでるのがポイントです。
普通だったら直接F→C7に行ってしまいそうになるんですがぐっと我慢してからのC7。
トニックをセブンスコードにしてブルージーな雰囲気を出す
同じコードを3和音から4和音に増やして曲を進行させるパターンは、楽曲の次のセクションに移るときにもっとも効果的に使用されています。
歌詞でいうと「And anytime you feel the pain hey jude〜」の部分。
F7→Bb→Dm/A→Gm
前のセクションがトニックであるFで終止しているのに対して、このセクションはF7から始まっています。
キーがFだと、Fの4和音はFM7(メジャーセブンス)なので、F7はダイアトニックコード上にはないコード。
F7の次にBbが来ているので、トニックをBbに見立てたセカンダリドミナントF7からドミナントモーションしていると言えます。
しかもトニックであるFがF7に変わった感じがするので、ブルースっぽい響き、いわゆるブルージな世界観も出てきます。
ブルースは西洋の音楽理論とはまた違った成り立ちがあるので、例えばキーがCの場合の4和音はC7→F7→G7というのが普通です。
これは西洋の音楽理論で説明できない進行であり、同じルートの進行で考えると4和音はCM7→FM7→G7となるのが西洋音楽的です。
親しみやすいだけじゃなく、どこか奥行きや影も感じられる「Hey Jude」の魅力の秘密はここだと思います。