
「DTMやるならとりあえず買っとけ」
などと言われがちなNative InstrumentsのKOMPLETE。
収録されているドラム音源の「STUDIO DRUMMER」はドラマーの僕から見てもとてもいいドラム音源だと思うんですが、全然知識が無かったらどう使っていいかよく分からないと思うんですよ。
DTM初心者の人が初めて触れるドラム音源とも言えるかもしれないので、基本的な使い方、サウンドの作り方を書いていきます。
ちなみにNIの他のDRUMMERシリーズも使い方は同じです。
3種類のドラムキット
KONTAKTのブラウザーを開くと3種類のドラムキットがあるのが分かると思います。
それぞれ見ていきましょう。
Garage Kit
オープンな鳴りのロック的なキット。
伝統的なロック、ガレージロック系には特に合うと思います。
タムは「コーテッドヘッド」なので、比較的デッドな音がします。
Session Kit
汎用性の高いキット。
迷ったらコレ。
どちらかというと細やかな表現に向いてるので、バラードなんかはこれが良いかな。
ハイハットのチップ音が明快で気持ちいですね。
Stadium Kit
スタジアムロック風のキット。
分厚くて頑丈そうなシンバル系のグラフィックでも分かる通り、音量のデカいキットで構成されています。
爆音で叩きたいメタルやハードロックならコレ。
「Fullは音のいいバージョン、Liteは音質を犠牲にした負荷の軽いバージョン」と考えてもらってOKです。僕はとりあえずLiteで立ち上げて、ドラムパートがある程度形になったらFullを読み込んでオーディオ化します。
コンピューターのスペックに余裕があれば、最初からFullで立ち上げられるんですけどね。
音の傾向はミキサー部のプリセットなどでも変えられるので、Kit選びの段階ではそこまで神経質にならなくても大丈夫です。
音作り
ここから音作りをしていきます。
どういう音を作れば良いか分からない場合は、見本となる曲を用意して聴き比べながら調整していくと良いと思います。
今回はメタリカの「Hardwired」という曲のドラムに寄せてみます。
なんでこの曲かっていうと、これを書いてる時点でApple Musicのアルバムランキングの中でロック系最上位だったからです(6位)。笑
メタリカを「ヘヴィーメタル」と言ってしまうのは強引な気がしますが、一番ラウドに鳴らせる「Stadium Kit」を選んでみます。
左上のミキサーのプリセットを「Metal」に変更しました。
もうこの時点でかなりそれっぽい音になってて素晴らしいですね。
コンプを深くかけて、アタックを強調したサウンド。
「ペチペチしたキック」もいい感じです。
ここで、上の「Hardwired」のドラムサウンドと聴き比べてみましょう。
ん?
あれ?
ほぼ完璧です!笑
もう変えるところはほとんどない気がします。
曲の全体ができた後で微調整するくらいで済みそう。
素晴らしい。
ここで終わるのはあまりにも説明不足なので、、音作りの際の要点をいくつか。
スネアドラムの音色の選び方について
スネアドラムは2台から選択可能
各キット内でシンバルやタムを交換することは出来ないんですが、スネアドラムだけは2種類から選べます。
Stadium Kitで選べるスネアはこの2台
どちらもウッド系のスネアですね。
サイズや材質で音がかなり違ってくるので、一度聞き比べることをお勧めします。
ヒットポイント(打点)による音の違い
STUDIO DRUMMERのスネアには沢山の奏法(アーティキュレーション)が用意されています。
黄色の部分がスネア
- Sidestick
- CenterL/R
- Rimshot
- HalfwayL/R
- Rim Only
- Flam
- Roll
- Wires Off
- CenterL
- CenterR
- HalfwayL
- HalfwayR
- Splash Off
- Splash On
- Splash Rim
KONTAKTのinfoをオンにしてキーボードにカーソルを乗せると表示されます。
ほとんどはスネアドラムのどの部分を叩くかの違いなので、一度実際に叩いてみると一発でイメージができるようになると思います。
スネアを連打するときは単にベロシティで差をつけるだけより、「CenterL」「CenterR」を交互に鳴らした方がより本物っぽくなるなど、ドラム打ち込みのコツも掴みやすくなるはず。
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STUDIO DRUMMERにおけるマイキングの概念
ドラムキットに対して、マイクがどのようにセッティングされているかを理解すれば、自由に音作りができるようになります。
マイクの設置場所を大きく分類すると3か所
クローズ・マイク(Close Mic)
スネア、タム、ハイハットなど、楽器単体の音を直接拾うマイク。
オンマイクとも言いますね。
オーバーヘッド・マイク (Overhead Mic)
ドラムキット全体の音を上の方から拾うマイク。
画像はモノラルだけど、一般的にはLRのステレオで設置。
ルーム・マイク(Room Mic)
部屋の響きを拾うマイク。
アンビエント・マイクとも言います。
これらのマイクで拾った音は、それぞれSTUDIO DRUMMERのミキサーに入力されます。
個別にEQ、コンプレッサー、トランジェント、テープサーチュレーターなどのエフェクトを掛けることも可能。
楽器ごとのエディットについて
キット画面では、選択したそれぞれの楽器について細かい調整ができます。
・OH MIX
オーバーヘッドマイクで拾う音量
・ROOM MIX
ルームマイクで拾う音量
・TUNE
ピッチ調整
・ATACK
発音タイミングの調整(基本はいじらない)
・HOLD
ガムテープなどを使ったミュートの加減
・DECAY
音量の減衰速度
ドラムキットそのものの音作りをするセクションですね。
オーバーヘッドマイクで拾ったドラムキット全体の音から、スネアの音量だけを上げ下げするなどは現実では不可能なので、ここはソフトウェア音源ならでは。
最後に
GROOVE(ドラムループのMIDIデータ)も豊富だし、ヒューマナイズもしっかり出来るのでNIのDRUMMERシリーズおすすめです。
KOMPLETE ULTIMATEを買えば全15キット揃っちゃう。