
インストゥルメンタル作曲の手引書
歌ものの作曲について書かれたHow To本は数多くありますが、映像作品に用いるサウンドトラックやBGMの作り方についての本ってあまり見かけないですよね。
・歌ものは作曲できるけど、いまいちBGMは作曲できない
・シーン(場面)に合った作曲ができない
・インストゥルメンタルの作曲法が知りたい
なんとなく作りたい曲のイメージはあっても、じゃあ具体的に何をどうすればいいのかが分からないことってありますよね。
アイデアが出るまでひたすら頭を絞るけど、なかなか完成せず時間だけが無情に過ぎていく。
何かとっかかりになるようなヒントや定石みたいなものを知りたい。
そういった疑問や悩みを抱えている方に向けて書かれたのが「サントラ、BGMの作曲法 / 岡 素世 編著」です。
ずっと欲しかったんですが、買おうと思った時にはamazonでいつも品切れ、今回ようやく買えました。
以前からある本だとばかり思ってましたが、2015年4月発売の割と新しい本なんですね。
序章と第1章ではコードやスケール、リズムなど、一般的な作曲本、理論書に書いてある類のことを、知識の確認という意味合いでギュッとコンパクトに網羅してあります。
本書で学べること
そしていよいよ、この本の真骨頂が第2章から始まります。
2章以降の内容は、僕が解説するよりも目次を見てもらった方が分かりやすいと思うので、丸っと載っけておきます。
以下、本章の前書きより。
音楽は、絵とは違う芸術だと思います。静止しません。いつも流れていて、留めておくことができませんし、手で掴めません。だからこそ美しく輝いているのかもしれません。
映像や歌詞、あるいは漠然とイメージにそって目的にそって音楽をつけたい場合、そのイメージには算数のような回答はなく、ある意味曖昧で個人的です。ですがここでは敢えて、
・こういうイメージにはこういうことを工夫されている音楽が巷に多い(共通性)
・こういうイメージにはこの手の提示はいかがだろう?という、限られた「例題」的なサンプルの提示をして、皆さんの創作に少しでも何かヒントになればいいな、という願いを込めて書いています。
目次(第2章以降)
第2章 一般的な映像シーンのBGM
SECTION2-1 劇伴で使えるシーン別BGM①
- 日差しが暖かい”ほのぼの”した雰囲気の日常
- 「裏切り、敗北、失恋」といった悲しい出来事
- ドラマ上、微妙な人物や展開のシーン
- ふとしたきっかけで一瞬切なくなるシーン
- 恐ろしいことが起こりそうなサスペンス
- 作戦会議、解決しない問題等のシビアで緊張したシーン
SECTION2-2 劇伴で使えるシーン別BGM②
- ホラー① (不穏な雰囲気〜ピンチ!)
- ホラー② (お化けが出てきそうな朽ち果てた夜の洋館)
- 不安な感情
- 自分の思い通りにならない「悪い展開」
- 場面展開が少ない緊張した雰囲気
SECTION2-3 劇伴で使えるシーン別 BGM③
- ウキウキ楽しく明るいシーン
- 勇ましく挑戦的な主人公
- 一つの物語が終わった、切ないシーン
- 楽しくお茶目でコミカルなシーン
第3章 ゲームのBGM
SECTION3-1 様々なシーンで使えるゲーム的BGM
- のどかな村や草原
- 王宮① (厳格な王様や兵士等が出てくるイメージ)
- 王宮② (城下町等での陽気なイメージ)
- 王宮③ (王宮での踊りをイメージ)
- 勇者の冒険
- 疾走感がある切羽詰まったシーン
SECTION3-2 戦うシーンで使えるBGM
- バトル① (激しいボス戦等のイメージ)
- バトル② (通常戦闘、普通の敵)
- 硬派な戦い「格闘ゲーム」
SECTION3-3 その他のゲームで使えるBGM
- 落ちゲー、パズル
- セレクト画面、フィールドマップ等の短いループBGM
- クリア・ファンファーレ
- ゲームオーバー
第4章 民族、季節を感じさせるBGM
SECTION4-1 民族音楽っぽくしてみよう
- ケルト系音楽の特徴
- 中国系音楽の特徴
- 和風系音楽の特徴
- インド系の音楽
- 沖縄系(琉球)の音楽
SECTION4-2 季節を感じさせる音楽を作ろう!
- 季節ごとの特徴を考えてみよう
- 春「桜、”和”的な世界でイメージ」
- 春「やさしくほんわりあったかなイメージ」
- 夏「サンバ的なノリでにぎやかなイメージ」
- 秋「もの悲しいイメージ」
- 冬「雪、凍っているモノのイメージ」
SECTION4-3 曲作りに楽器の音色、フレーズを活かそう
- オルガン
- ストリングス
- フルート、ピッコロ
第5章 ショート・ミュージック
SECTION5-1 ショート・ミュージックのいろいろ
- ショートミュージックの様々な呼び方
- 短い音楽のコードの性質
- 楽器音色とシーケンスデータで効果音が簡単に作れる
- ピアノでSE !
SECTION5-1 歌ものについて
- インスト、歌ものの特徴
以上。
いかがでしたでしょうか。
「これが知りたかった!」っていう見出しはありましたか?
まとめ&続編も発売になったよ!
それぞれの項目毎にサンプル曲の譜面が用意されているのですが、できればCDを付けて欲しかったですね。
この本に載ってるような情報は、ネットを駆使すれば手に入るかもしれませんが、一冊の書籍に端的にまとめてあるということにはとても価値があると思います。
そして、本書「サントラ、BGNの作曲法」の続編となる「様々なシーンが作曲できる!つくれるサントラ、BGM」が2016年4月に発売されてました(さっき気づいた)。
そして、こちらはCDつき!
(僕が最後の在庫をポチったのでしばらく入荷待ちだそうです。m(._.)m)