フレディ・マーキュリーは本当に歌が上手いのか考察

フレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)は言わずと知れた英ロックバンド「クイーン」のヴォーカル。

昨年(2018)公開された映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットも記憶に新しいというか、すでにBlu-ray&DVDが発売されているにも関わらず、いまだに劇場公開が続いているという人気作品となっています。

そんなクイーンのフロントマンであるフレディ・マーキュリーですが、ヴォーカリストとしての力量はどのくらいなのか?あらためて考えてみることにしました。

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歌唱力は間違いなく高い

あらためて言うまでも無いかもしれませんが、フレディ・マーキュリーはハイレベルな歌唱力の持ち主です。

「歌い方が生理的に受け付けない」「声質が嫌い」と感じる人であっても、歌唱技術の高さそのものは認めざるを得ないかと思います。

表現力、音域、ピッチの正確さといった、分かりやすい指標で見ても、ロックバンドのヴォーカリストとしては上から数えた方が早いくらいではないでしょうか。

幸か不幸か、ロックのヴォーカリストとしてはあまりに器用であるが故に、「こんなのロックじゃねえ」みたいな批判を受けることがあるのは、ポール・マッカートニーと共通するところでもあります。

「ロック感」みたいな枠組みから才能が飛び出しちゃうんですよね。

で、飛び出した部分が多くの注目を集めて、ロックの本流と一緒くたにして論じられるから、コアなロックファンは「こんなのロックじゃねえ」と批判したくなる。

この気持ち、分からなくもないです。

話が逸れました。

最大の難点は喉の弱さ

フレディは歌唱力そのものは高いのですが、残念ながら喉が強くないようです。

レコーディング時にはあまり問題にはならないけれど、ことライブにおいては、喉の弱さがパフォーマンスのクオリティに影響を与えてしまいます。

喉が弱いと何曲か歌い続けているうちに喉がガラガラになり、しまいには声が出なくなってしまいます。

さすがに声が出なくなるとライブとして成立しませんよね。

なので、その予防策として、喉に負担をかけないような歌い方をするのですが、これがオリジナル音源の歌い方とのギャップを生み、ライブの観客あるいは、CDなどで聴いてるリスナーの落胆を生み出す危険性をはらんでいます。

クイーンのライブの場合、70年代中期くらいまでは、フレディも割とレコード音源に忠実に歌っています。

これが70年代終わりくらい(Live Lillersあたり)になると、喉をセーブするような歌い方を取り入れるようになります。

当時のライブ音源を聴くと、あきらかに声が出ていない公演がチラホラあり、この頃からフレディ本人も喉のコンディションにより気を使うようになったのかもしれません。

そのせいか、80年代以降のライブでは、声のコンディションのバラツキが少ないように思います。

ただ、80年代以降は安定したヴォーカルが聴ける一方で、レコード音源で聴けるような繊細さは失われていきました。

特に、70年代の曲の魅力の一端を担っていた艶のあるヴォーカルが、80年代ではことごとく野太い声に変わってしまったのは、個人的にショックでした。

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80年代はエネルギッシュなヴォーカルに変化

1980年代に入ると同時に、フレディのルックスはあからさまに男性的なものへ大きく変わりました。

それと同時に、歌い方もよりパワフルでエネルギッシュなスタイルをとるようになります。

アルバムでいうと「The Game」から、フレディの声から艶っぽさが後退し、よりロックぽいハスキーな成分を含むようになります。

これはたった1年前にリリースされた前作の「Jazz」と比べると明らか。

例えば「Jazz」に収録の「Jealousy」と、「The Game」収録の「Play The Game」を聴き比べてみると良く分かります。

この2曲はどちらもバラード曲ですが、前者が「Bohemian Rhapsody」でお馴染みのフレディの声であるのに対し、後者はヒゲ&短髪時代のフレディのイメージがより強く想起させられるのではないでしょうか?

たった1年でこの違いですから、単に経年で声質が変化したのではなく、ルックスと同様に意図的に歌い方や発声方法を変えているのかもしれません。

歌い方の変化はありましたが、歌唱力の点ではむしろ80年代に入ってより上達したと個人的には思っています。

特に映画「ボヘミアン・ラプソディ」でも再現されている「Live Aid(ライブエイド)」でのフレディのヴォーカルはやっぱりスゴい。

いつものライブなら喉をセーブするために音程を下げて歌う部分を、Live Aidではオリジナル音源のメロディラインに忠実に歌っています。

その守りに入らず全力を出しきる姿勢は、持ち時間がたった25分間しかないからこそ可能だったのかもしれません。

これが2時間とかのライブだと、最初から最後まで100%の力で通すのは、クイーンの持ち曲から考えても現実的に難しいですからね。

最後に

フレディ・マーキュリーは最後まで一流のヴォーカリストでした。

フレディ在籍時のクイーンのラストアルバム「Innuendo(イニュエンドゥ)」や、遺作が収められた「Made In Heaven(メイド・イン・ヘヴン)」なんかは、70年代の繊細さと80年代のパワフルさが同居したフレディのヴォーカルを聴くことができます。

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