「物欲」についての記事をいくつか書いていくので、ここで言葉を定義しておきます。

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物欲とは何か?

「物欲」という言葉の意味を文字面通りに解釈すると、「モノを所有したいという欲求」となります。自分がまだ所有していないモノを手に入れて、自分の意のままに自由に扱いたいという所有欲です。

あるいは、いわゆる「お買い物中毒」と言われる精神状態も、一種の物欲と言えるかと思います。ただし、お買い物中毒は”消費すること(商品を購入すること)”自体が目的となっているケースも多いと考えられるため、単純な所有欲としての物欲とは切り分けて考える必要があるかもしれません。

ここではとりあえず、モノを欲する感情全般を物欲と定義しておきます。

物欲は人間の本能ではない?

ここで少し、物欲という感情の起源的なことに触れてみたいと思います。

物欲は人間に固有の感情だと言われています。つまり、人間以外の動物には物欲がない。とはいえ、例えば「この食料は自分のもの」「この子犬は自分の子ども」といった認識はあるように見えるので、生物的に必要な範囲内において自分の所有物という認識はあるかもしれません。いずれにしても、我々人間の感覚で定義するところの物欲はなさそうです。

物欲は人間の本能的な欲求ではないという説があります。動物に物欲がないのは理解できるとしても、地球上で唯一の高度な理性を持つ生物である人間が、本来は物欲を持たないというのは興味深いですよね。

17世紀のイギリスの哲学者ジョン・ロックの著書の中に「所有権」という概念が登場します。ロックはこう言っています。「大地と人間以下の被造物はすべて万人のものであるが、人間が労働を加えると、その人の所有物になる」。具体的に言うと、土地は耕した人の所有物、耕した土地で栽培した小麦もその人に所有権があるということです。

所有という概念の起源は農業の始まりにあったと言われています。農業は時間がかかります。畑を耕して実際に食物を収穫するまでの間、定期的に労働を投下する必要があります。途中で他人に畑を奪われてしまったら、それまでの苦労が水の泡になってしまい、大切な食料も手に入れられなくなってしまいます。なので、その畑を自分の所有物として権利を主張し、「勝手に立ち入ったり手を加えたりするな」といった警告を出しておく必要があるわけです。

このようにして、価値あるモノを多く所有することが富・財産の証となり、財産を多く所有する者は地域社会の中で権力を持つようになります。また、価値あるモノを多く所有することこそ幸福である、といった観念も生まれてきたのでしょう。

「価値あるモノをより多く所有している状態=裕福かつ社会的地位の高い幸福な人間」という潜在意識こそが、物欲の根源であるのではないでしょうか?

人類史において農業が始まる以前は、物欲という欲求はほとんど無かったのではないかと考えられます。あったとしても、最初に書いたように動物の本能レベルのであったはず。農業という高度な理性による営みに付随して物欲という感情が生み出されたのでしょう。

つまり、物欲は人間の本能では無く、人間の理性的が生み出した感情だと言うことができそうです。理性が生み出した感情であれば、理性で押さえつけることもできそうですね。

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