
ごく普通の生活をしてるとオーケストラ系の楽器にはなかなか触れる機会がないですよね。
音楽に興味のある人だったら少なくともギターとかピアノくらいは触ってみたことはあると思いますが、オーケストラで使われるような弦楽器、木管楽器、金管楽器の中には見たことさえないものもあるかもしれません。
そんなオーケストラ系の楽器の中で、一般的なポップスにもよく登場するのがヴァイオリンを始めとするストリングスではないでしょうか?
奏法を変えることで力強さ、可愛らしさ、寂しさ、優雅さなど、多様な表現ができるのがとても重宝されているのだと思います。
そんなストリングスですが、僕自身あまり馴染みがなかったので、曲の中に取り入れようにもどうすればいいのか全くわからないというような状態でした。
今回は、最低これだけ知っておきたい基本的なストリングスの役割と重ね方(アレンジ)の基本を書いていきます。
楽器のサイズと担当する音域は比例する
ストリングスとはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの総称です。
楽器のサイズとしてはヴァイオリンが一番小さく、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの順でサイズが大きくなっていきます。
ご存知のとおり、これらの楽器はエレキギターなどと違って電気を使わない完全なアナログ楽器なので、楽器の大きさが音域や音量に直結します。
大きければ大きいほど音域が低くなり最大音量も大きくなります。
ヴァイオリンとヴィオラは肩と顎の間に挟んだ状態で演奏するので、極端に言えば歩きながらの演奏も可能ですが、チェロとコントラバスは座った状態で床と体で楽器を固定しながら演奏します。
チェロはまだしも、コントラバスを持って出歩くのはなかなか大変ですね。
とはいえ、楽器の中は空洞になっているので、見た目のインパクトほどの重さはなく、ヴァイオリンはとても軽いです。
小さい楽器ほど音量が出ないので、演奏者の人数を増やす必要がある
上にも書いたように、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの総称がストリングスですが、サイズの小さい楽器ほど最大音量が小さくなりますので、他の楽器の音量に負けないためには数を増やす必要があります。
オーケスラでのストリングス編成の一例を挙げると、
- 1stヴァイオリン 14人
- 2ndヴァイオリン 12人
- ヴィオラ 10人
- チェロ 8人
- コントラバス 6人
このように、コントラバスから2人単位で増えていくのが一般的です。もちろん例外もあります。
ただし、ポップスなどの歌モノでストリングスが使わる場合は、楽器の音をマイクで拾うため音量は後からいくらでも調整できるので、人数はアレンジ上必要最低限あれば大丈夫です。
また、ポップスにおけるストリングスはいわゆるウワモノとして使われるので、音域的、役割的にエレキベースとかぶるコントラバスは省かれることがほとんどです。チェロやヴィオラが省かれることもありますし、ソロパートを担当するのであればヴァイオリン1本だけでもいいので、そこらへんはケースバイケースといったところですね。
歌ものバラード曲のストリングスでよくあるのは次のような編成。
- 1stヴァイオリン1人
- 2ndヴァイオリン1人
- ヴィオラ1人
- チェロ1人
ソロ演奏楽器としてよく用いられるのはヴァイオリンとチェロです。
ストリングスの基本的な役割分担の考え方
ここではストリングス楽器の主な役割について書いていきます。ここさえ外さなければ、アンサンブルの面ではおかしくないストリングスパートが作れると思います。
第1ヴァイオリン(1st Violin)
1st Vnと略されます。
ヴァイオリンは、その役割によって第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンに分けられることが通例となっています。どちらのヴァイオリンも、楽器としては全く同じものです。
第1ヴァイオリンはストリングスで一番目立つ花形のパートです。主にメインとなるメロディやフレーズを演奏します。
他のパートは、第1ヴァイオリンのサポート役と考えてもいいでしょう(多少語弊はありますが)。よって、ストリングスのアレンジはまず第1ヴァイオリンから始めましょう。
ここさえ決まれば、他のストリングスパートはこれに肉付けしていくだけですから。
第2ヴァイオリン(2nd Violin)
2nd Vn
第1ヴァイオリンを一番近いところでサポートするのが第2ヴァイオリンです。第1ヴァイオリンに対して3度や6度でハーモニーをつけたるのが定石パターン。
メインのメロディを強調するために第1ヴァイオリンとユニゾンすることもよくありますし、スタッカートなどで全く違ったフレーズを演奏してもいいですね。
ヴィオラ(Viola)
Vla
ヴィオラはヴァイオリンより一回り大きい楽器です。基本構造は全く同じですが少しハスキーで悲しげな印象です。
ヴァイオリンやチェロよりは地味ですが、縁の下の力持ちという意味で重要な楽器です。基本的に内声部を担当しますが、ヴァイオリンの合間にひょっこり顔を出す感じが愛おしいです。
ヴァイオリンよりも下方向の音域が低いので、第2ヴァイオリンよりもメインメロディーのオクターブ下でのユニゾンを任せやすいです。
チェロ(Cello)
Vc
チェロはいわゆる”バンド”でいうところのベース的な立ち位置で、ルートをしっかり鳴らして楽曲を支えたり、ソロ演奏にも使われます。
歌ものですでにベースがいる場合は、ぶつからないようにアレンジすることが大事です。なんとなく入れるくらいなら居ない方がいいかもしれません。
コントラバス(Contrabass)
Cb
前述したとおり、コントラバスは歌ものポップスの上ものストリングスにおいては使われることはほとんどありません。
ただし、バンド形態ではない場合、例えば演奏がストリングスだけとか、ピアノとストリングスだけなど場合は、チェロのさらに下の音域を支える楽器として有った方がいいと思います。
基本的な役割はチェロのサポートです。
例えば、チェロが演奏するフレーズと全く同じフレーズをオクターブ下で演奏したりなど。ただし、実際にDTMで重ねてみるとわかるのですが、コントラバスがずっと鳴り続けているとちょっとうっとおしく感じるんですね。
なので、例えばチェロが弓でレガートしているとすると、コントラバスはそのオクターブ下でピチカートで演奏すれば、チェロの音価の頭だけを強調して重厚感を出しつつ、うっとおしさを感じさせないようなメリハリのあるアレンジになります。
まとめ
というわけで、駆け足でしたがストリングスの基本的な役割と重ね方の紹介でした。アレンジのコツは、それぞれの役割をハッキリさせることですね。必要性を感じなければ省いた方が絶対いいと思います。無理に使っても邪魔になるだけですからね。
ピチカートやスタッカート、トレモロなどの奏法をいろいろ試してみるのも面白いですよ。