超久々の楽曲分析シリーズです。

今回取り上げるのは、The Beatles(ザ・ビートルズ)の人気曲「All My Loving(オール・マイ・ラヴィング)」。

作曲したのはPaul McCartney(ポール・マッカートニー)です。

前回こちらの記事でオーグメント・コードを楽曲に取り入れる方法を書きましたが、このAll My Lovingはまた全く違った方法でオーグメントを取り入れ、めちゃちゃ印象的な雰囲気を醸し出しています。

どのように使われているのか、さっそく見ていきましょう。

おいしいコードの使い方が2つ

1.ドミナント前にⅦ♭に寄り道して浮遊感を出す

いきなり歌から始まるのは初期The Beatlesのお得意のパターンですが、コード進行的にまず耳を奪われるのが、

Remember I’ll always be True

という歌詞の部分の

A→F#m→D→B7

という進行です。

(この部分を再生します)

そして、この曲のキーであるEのダイアトニックコードは次の通り。

 

E F#m G#m A B7 C#m D#m(♭5)

 

この進行で登場しているDというコードが見当たりませんね。

ということは、キーEにおいてDというコードはノンダイアトニックコードということになります。

では、このDというコードはどこから来たのでしょうか?

上のEのダイアトニックコードの表で言うと、Dが位置するのはⅥ(C#m)とⅦ(D#m)の間ですよね。

Ⅶの半音下ですから、Ⅶ♭と表記することができます。

このⅦ♭ = Dは理論上ではEmのダイアトニックスケールから借りてきたコードという位置付けですが、ここでは彫り下げなくてもいいでしょう。

この手法はモーダルインターチェンジ(同主調変換)という名前がついてます。

とにかく、この曲のドミナントコード(V)であるB7に行く前にDを挟んで寄り道しているわけです。

どのような効果をもたらすかはお聴きいただいて分かる通り、一瞬ふわっとした浮遊感みたいなものが演出できます。

2.ノンダイアトニックコードのⅥ♭をオーグメント(aug)化

ふたつめのポイントはサビの部分です。

All my loving I will send to you

All my loving darling I’ll be true

コード進行は

C#m→Caug→E

を2回繰り返しています。

(この部分を再生します)

まずCaugからオーグメント(aug)を取っ払って考えてみましょう。

CというコードはひとつめのDと同じく、この曲のダイアトニックコードには含まれていないのでノンダイアトニックコードです。

ギリシャ数字で表すとⅥ♭となり、こちらもDと同じく方法論的にはモーダルインターチェンジです。

そしてこのCにはオーグメント(aug)がついてます。

オーグメントとは、そのコードの主音から数えて5度上の音を半音上げたものです。

ノンダイアトニックコードな上に、さらにオーグメントをついてるのでややこしく感じますが、ピアノの鍵盤で見るとすごく分かりやすいです。

C#mからCのコードへ移る際、C#mの5度の音程であるG#を、Cのコードに移ってもそのままキープしています。

これによりCのコードの5度の音が半音上がった状態のCaugとなります。

この部分、ただのCを鳴らしても良いのですが、Caugの方がより魅力的な響き。

そして、ポールがピアノで作った曲なんだなーと想像できるのも面白いですね。

Ⅵ♭とⅦ♭はぜひ覚えるべし

今回取り上げたⅥ♭とⅦ♭は合わせ技で使われることも多いです。

Ⅵ♭→Ⅶ♭→Ⅰ

ふたつを経由してトニックに解決するとロックっぽいというかビートルズっぽいです。

Oasis(オアシス)のこの曲もエンディングでそのまんまやってるので、かなりビートルズ風です。(というか、まるパクリに近いw)

She’s Electric / Oasis (エンディング前のサビから再生)

With A Little Help From My Friends / The Beatles (エンディングを再生)


いかがでしたでしょうか。

うまく自作曲に取り入れたいですね。